書籍紹介

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−視て、聴いて、自信がもてる−       

肺聴診エキスパート

ISBN978-4-902496-52-9
定価:4950円(税込)、B5判、232頁、フルカラー
Web登録用アクセスコード付
発売:2015年8月
編著:中野 博(国立病院機構福岡病院、呼吸器科)

本書の特徴

  • Webと連動した書籍です。
  • Web上で「肺音」を聴けると同時に、肺音図上に音と同期した赤い線が動くので、
    視覚情報としても肺音を理解することができます(下記画像はiPadで気管呼吸音を開いたところです)。

  • 肺聴診 書籍&iPhoneアプリ

  • 模擬音も含めて、93の肺音を収録しました。
  • Webではナレーションによる解説を聞くことができます。
  • 動作環境:モダンブラウザ対応(動作保証はしておりませんので、ご了承下さい)。
  • 原音のほかに、国内売れ行き上位2ブランドの聴診器音を聞き比べることができます。
  • 肺音とナレーションのサンプルはこちら。動作環境を確認できます。

  • 書籍のサンプルはこちら(PDF書類)。

本文より一部抜粋

  •  聴診器がLaennecにより発明されて間もなく200年が経とうとしています。この間の医療技術の進歩は目覚ましいものがありますが、聴診の重要性は今なお減じてはいません。それどころか、最近、特発性間質性肺炎の治療薬が開発されるとともに、肺聴診が、有効な治療に必要な早期診断の方法として再認識されています。

     聴診音の画像表示は、心音については心音図が古くから普及しており、それは心音聴診技術の習得のためにはなくてはならないものでした。一方、肺聴診については、1970年代後半から肺音の研究が盛んになりましたが、肺音図は長く大学の研究室レベルの技術であったと言えます。しかし最近、パソコン、インターネット、スマートフォンの時代になって、誰でも肺音図を記録することが可能になりました。

     このような時代の流れの中にあって、本書では、肺音図の見方をまず習得し、肺音画像と聴診音とを頭の中で結びつけて習得するというアプローチをとりました。そのため、肺音画像が、統一した描出条件でかつできるだけ鮮明なものとなるように工夫をこらしました。聴診音については、原則として同じ録音感度で採取して相互比較が可能なものとしました。また従来の聴診教材にはない新しい試みとして、マイクで採取した原音と、本邦で販売されている代表的な聴診器ブランド2種の特性のフィルターで処理した音も別々にインターネット上で提供するようにしました。この音をヘッドフォンで聴くと実際の聴診器での音に近いものになります。

     本書は、2部構成で、実践編ははじめて聴診器を手にする人を想定して記述しました。そのため聴診器の選び方、聴診の仕方、肺音図の見方などを肺聴診トレーニングの前に配置しました。さらに、解説編として、各種肺音についての詳しい解説と誰でもできる肺音の測定方法についての解説を加えました。これらはこれから肺音の研究を始めようとされる読者にも役に立つ内容と思います。


contents

【第 I 部】実践編

第1章 聴診の方法−はじめて聴診器を持つ人へ−

1.聴診の意義
2.打診について
3.聴診の方法
4.聴診器の選び方について

第2章 肺音画像の見方

1.ソノグラムとは
2.肺音を構成する3つの要素

第3章 聴診トレーニング−肺音種類別−

A.正常呼吸音
 気管呼吸音(成人、頸部)
 気管支呼吸音(成人、前胸部上肺野)
 肺胞呼吸音(成人、下肺野)
 肺胞呼吸音(乳児5か月、幼児14か月)

B.異常呼吸音
 肺野呼吸音の高調化(いわゆる気管支呼吸音化)
 減弱と増強

C.副雑音
 ファイン・クラックル
 コース・クラックル
 ウィーズ
 ロンカイ
 スクウォーク
 ラットル
 胸膜摩擦音
 ハマンズ・サイン

第4章 聴診トレーニング−疾患別−

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の聴診所見
  症例(1)
  症例(2)
  症例(3)
  症例(4)

間質性肺炎の聴診所見
  症例(1) 非特異性間質性肺炎(NSIP)
  症例(2) 気腫合併肺線維症(CPFE)
  症例(3) 特発性肺線維症(IPF)
  症例(4) 石綿肺
  症例(5) 慢性過敏性肺臓炎

拘束性胸郭疾患

急性気管支炎

肺炎の聴診所見
  症例(1) 急性期
  症例(2) 回復期(1)
  症例(3) 回復期(2)
  症例(4) 治癒期

気管支拡張症の聴診所見
  症例(1)
  症例(2)
  症例(3)
  症例(4)

びまん性汎細気管支炎(DPB)

理学療法前後の聴診所見
  症例(1)
  症例(2)
  症例(3)
  症例(4)

気管支喘息の聴診所見
  症例(1) 気道誘発試験
  症例(2)
  症例(3)
  症例(4)
  症例(5)

小児科領域の聴診
  症例(1) 細菌性肺炎(1)
  症例(2) 細菌性肺炎(2)
  症例(3) マイコプラズマ肺炎
  症例(4) ウイルス性細気管支炎(1)
  症例(5) ウイルス性細気管支炎(2)
  症例(6) クループ症候群
  症例(7) 声帯機能異常(VCD)

腫瘍による気管狭窄

人工呼吸中の聴診


【第 II 部】解説編

第1章 肺音の用語と分類

1.本邦における肺音用語
2.各種肺音の臨床的意義
3.呼吸音
4.副雑音
 (1)断続音(ファイン・クラックル、コース・クラックル)
 (2)連続音(ロンカイ、ウィーズ、スクウォーク、ラットル)
 (3)肺外雑音(胸膜摩擦音、ハマンズ・サイン)

第2章 肺音の収録と解析方法

1.スマートフォンで自分の肺音を採ってみよう!
2.スマートフォンを用いた本格的な肺音計測
3.SmartLSAを用いた詳しい肺音解析
4.パソコンでの肺音計測方法−EasyLSA.exeを用いて
5.研究用肺音計測システム


【巻末付録】

Part 1.肺音計測で知っておきたい技術的知識 Part 2.肺音に関する文献